「千早、ちょっと相談があるんだけど…」 「なに?」 「家でさ、好きな人相手に何かしてあげてる?」 「…?何を言い出すの急に」 「いや、雪歩と付き合い始めたは良いけど、何かこうまだぎこちなくって…」 「あぁ、そういうこと」 「そうそう。最近春香、日に日に可愛くなってる気がしてさー、それで…」 「春香を変な目で見たら怒るわよ」 「いやいやいや!そういうんじゃなくて!そんなに睨まないで!  千早が何か春香にしてあげてるのかなって思っただけだから!」 「ふーん・・・まぁ良いわ。別に特にこれと言った事はしてないわよ」 「ホントに何も?」 「えぇ」 「そっかー。一緒にお風呂とかしてるわけじゃないんだね」 「は?何を言ってるのあなたは」 「え、え?だってさっき何もして無いって・・・」 「特別なことはしてないって言っただけよ。当たり前のことはやってるわ。 ちょっと気になるから真、あなた帰ってからの行動を細かく言ってみなさい」 「良いけど・・・。  ただいまーって帰ると、雪歩が迎えてくれるから、上着渡して手を洗って…」 「ストップ。帰ってきたらただいまって言った後、抱きしめてキスでしょ?」 「え?でしょって言われても…デフォなのそれ」 「当たり前じゃない。まぁ良いわ、それで?」 「う、うん。手を洗ってうがいして、夕食作ってくれてるから、座って、いただきますって言ってから食べて」 「いつもおいしい料理を作ってくれてありがとう。って言って頬にキスした後よね。うん、それで?」 「え?そんなことしてないけど…」 「してないの?」 「してる方がおかしいでしょ!てか何、ボクがおかしい方なの?」 「当然よ。こんなやって当たり前のこともしないなんて、萩原さんは苦労するわね・・・  それで、ご飯を食べさせ合うのは良いとして、ご飯食べた後は?」 「ちょ…え?あ、うん。お風呂沸かしてくれてるから入って…」 「二人で背中を流し合うくらいはやってるわよね」 「いや…そこまでは」 「そこまで?やって当然のことなのに?段階踏んでーみたいなこと考えてるの?」 「え、うん…」 「呆れた…。まぁ今後は気を付けなさいね。それで、お風呂出て、お互いの髪を乾かしあって、梳かした後は?」 「何で上から目線なんだよ・・・。えっと、テレビを見る?」 「二人で寄り添って手をつないでお話しながらよね。まぁそこはあんまり変わらないわね」 「え、お、おう…」 「それで、歯磨いたらベッドに入って、おやすみのキスをした後、抱き合って寝ると。  ふーん。何かやって当前のことを2,3やってない気がするわね」 「え?あ、うん・・・。千早は凄いね…」 「私はあなたの方に驚きを感じるわ。あ、それで朝起きたらは」 「いや、御免…もう良いです。。。ボクが悪かった」 「謝られるようなことはしていないけれど。おはようのキスしてから私の場合は」 「もう良いってぇ。うわあああん!(バタン」 「ただいまーあれ?真?」 「あら、春香。おかえりなさい」 「今、真が走っていったけど、何かあったの?」 「よく分からないわ・・・。お互いの日常生活を確認してただけなのに」 「ふーん。せっかくアイス買ってきたのに。まぁ後であげればいっか。千早ちゃん、一緒に食べよ?」 「えぇ。ありがとう、春香」 ・・・・ 「ただいま、雪歩」 「おかえりなさい、真ちゃん。今日もお疲れ様」 「えっと…」 「ん?どうしたの。あ、ご飯出来てるけど、先にお風呂にする?」 「・・・(抱き)」 「?!?!?!?!どどどどどどど、どうしたの真ちゃん?!」 「こ、これがデフォって聞いて…」 「で、デフォ?!なんのこと??」 「これで、この後は・・・ただいまのキスか」 「え?キスって?ん………。はぅぅ…ドサ」 「とりあえずここまでは…え?雪歩?ちょっと!大丈夫!?雪歩!!」 ・・・ 「ん…あれ、私…どうして」 「あ、気が付いた?雪歩…」 「真ちゃん…」 「ごめん、雪歩。ボクのせいで倒れちゃって…」 「(そっか…真ちゃんにギュってしてもらって、キスされて、嬉しくて私…)」 「今日千早と話をしてさ。雪歩に何にもしてあげてないってことが分かって、それで…」 「えっと…。どんな話だったのか、聞かせてくれると嬉しいな」 「うん。実は・・・」 (説明中...) 「というわけで…」 「春香ちゃんも、千早ちゃんも、何て言うか…凄いんだね」 「あ、やっぱり雪歩も同じこと思った?良かった…そう感じるボクがおかしいのかと思ったよ」 「ふふっ。そっか、千早ちゃんがそんなことを」 「うん。でもさ、やっぱり雪歩もこう・・・抱きつかれたり、キスされたりした方が嬉しいのかな」 「えっと…嬉しいかと聞かれると嬉しいけど、いつも通りの真ちゃんでいてくれれば、私は幸せだよ?  少なくとも、誰かがこうだから、こうじゃなきゃ駄目って考える必要は無いんじゃないかな」 「雪歩…」 「私は、真ちゃんの傍にいられるだけで、本当に幸せだから」 「ゆきほっ…雪歩ぉ…」 「どうしたの、真ちゃん」 「ごめん、ちょっとこのままでいさせて…」 「うん、良いよ」 「雪歩、暖かいな」 「真ちゃんもね」 「へへ…あの、雪歩。このまま聞くだけ聞いて欲しいんだけど」 「うん」 「ボクさ、急に千早や春香みたいにするのは、難しいと思う。あ、別にやりたくないとかじゃないんだよ?」 「うん、分かってる」 「えっとそれでね、千早の話を聞いて、やっぱりボクが幸せになれてるのは、雪歩のおかげなんだなぁってのは凄く感じたんだ」 「そ、そうなのかな。エヘヘ…そう言ってくれると嬉しい」 「うん。で、せっかく付き合ってるんだし、その…ずっと一緒にいたいってボクは思ってて」 「真ちゃん…それってプロポーズ?」 「あ、今のはプロポーズじゃなくって!あ、いや。気持ちはそうなんだけど、プロポーズはちゃんと指輪と一緒にしたくて!  って何言ってるんだボクは」   「アハハ、真ちゃん可愛い」 「雪歩…いじわるだよ」 「えへへ…ゴメンね真ちゃん。それで?」 「それでね、えっと・・・やって欲しいことがあったら、遠慮しないで言って欲しいんだ。  今まではボクに悪いからって思って、やってなかったこともあると思うし、ボクもこれ言うと雪歩に悪いかなって思うこともあった。  でも、これからはボクはこうしたいって言うようにするから、雪歩も言って欲しい・・・それを伝えたくて」   「うん…これからは、そうするね」 「ありがとう、雪歩。じゃあ早速なんだけど」 「うん」 「えっと・・・今日、一緒のベッドで寝ても良い?」 「え…?」 「あ、いや、駄目ならそう言って欲しいんだけど。雪歩と一緒に手をつないで寝たいんだ  駄目・・・かな」   「ううん。駄目じゃないよ。嬉しい…」 「雪歩…」 「真ちゃん…」 ぐぅ〜 「あ、あはは・・・そういえばまだご飯食べてなかったな。恥ずかしい…」 「真ちゃんったら、ふふっ。すぐ用意するね。座って待ってて」 「うん、ありがとう雪歩」