カシャ、カシャ。 「はい、じゃあ次は亜美ちゃんと三浦さん、真美ちゃんと天海さんで組んでもらえますか」 とある撮影スタジオ。 今は雑誌の表紙撮影中。 スクリーンの前で、笑顔でポーズを取る私たち。 「んふー、あずさお姉ちゃんのおっぱいは誰にもやらん!」 「あらあら、だめよ亜美ちゃん」 ふざける亜美に、撮影スタッフさんたちの間で笑い声が上がる。 でも本当は、ふざけてるのでも冗談でもないんだよね。 亜美とあずささんは、もう深い仲になっている。 なんで私がそれを知っているかというと、私は真美と付き合ってるから。 つまり今日の撮影メンバーは、実は二組のカップル。 「真美ちゃんは天海さんの肩に手を置いてみて」 「こんな感じかなー?」 「うん、いいよ。それじゃいきまーす」 ポーズが決まって、またフラッシュが光りだす。 アイドルになって写真を撮られる機会を重ねるうちに、眩しくても笑顔のままでいられるようになった。 すっ。 「えっ…」 不意に、真美の左手の親指が私の上着の内側に入り込んできた。 そして、私の鎖骨をなぞるように動く。 多分カメラマンさんや他のスタッフの人も気づかない、微妙な動き。 でも私にとっては、 (駄目だよ真美、みんな見てるのに…) たちまち心がざわつく動き。 昨夜も、このいたずらな指が私にどんなことをしたか。 それを思い出すだけで、体の芯に火が点いてしまいそうになる。 初めての時は二人ともおそるおそる触れ合い、長い時間をかけてやっと達することができた。 なのに元々好奇心旺盛だからか、真美はどんどん上達していって、今ではすっかりベッドでの主導権を握られてる。 声が枯れてしまいそうな程何度もイかされたり、あと少しというところで逸らされて、涙ぐみながら懇願させられたり。 そんな変わっていく真美と、溺れてしまいそうな自分が時々怖くなる。 だめ。だめ。今はお仕事中なんだから、変なこと考えちゃ。 気持ちを切り替えようとする私を嘲笑うかのように。 「あっ……」 ほんの一瞬、真美の中指が胸の頂きをかすって、思わず声が出てしまった。 「春香ちゃん、どうかした?」 「いえ、なんでもないです。ごめんなさい」 スタッフさんから声をかけられて、慌てて取り繕う。 熱い。 体の奥の、真美だけが知ってる場所から広がる熱が、一生懸命平静を装うとする私の心をじりじりと侵食してくる。 (だめ……だめだってば……) そうしている間にも真美の指は少しずつ位置を変えて、 りっちゃんお誕生日おめでとう。