『やよいの秘め事』 「ふぅー、やっと皆寝付いてくれました」 夜の高槻家、やよいは何とか皆を寝かしつけ、くたくたになっていた。 「皆元気ばっかり良くて、本当に誰に似たんだろう」 元気の有り余る弟や妹たちを寝かしつけるのは特に大変な事だが、それでもやよいは楽しそうだった。 両親がいないときは基本的に事務所から帰ってきたやよいが家事をする。 兄弟も多く、炊事洗濯も全てこなすとなると元気が取り柄のやよいでも流石にへっちゃら、とは言い切れない。 「ふぅー」 居間の机に突っ伏して、大きく息を吐く。 家事を終え、眠りに付くまでのわずかな時間がやよいの時間だ。 「わたしにもお姉ちゃん、欲しいなぁ」 ふと、そんな言葉が出てしまう。 もちろん、家族のことは大好きだ。でも、自分にも甘えられる人が欲しい、時々そう思ってしまう。 「事務所だと亜美と真美以外は皆お姉さんだけど…」 事務所の皆はやよいが年下ということもあってか、やよいのことを可愛がってくれている。 でもそういうのとはちょっと違うような…もっと自分だけをずーっと甘やかしてくれる、そんな人が欲しいと感じることがあった。 「雪歩さん…かなぁ」 すぐに思い浮かぶのは、一緒にユニットとして活動する雪歩のことだった。 気弱なところもあるけれど、芯はしっかりしていて頼りになる雪歩さん。 時々勢いがつきすぎてしまう自分をコントロールしてくれる雪歩さん。 ユニットとして活動している時だけ、わたしだけを甘えさせてくれる雪歩さん。 「雪歩さんがお姉ちゃんならわたし…」 雪歩さんにぎゅって抱きしめられたい。えらいね、って頭を撫でて欲しい。わたしだけに笑って欲しい。 考えれば考えるほど雪歩の事が頭から離れなくなる。 会いたいなぁ。 (ってわたし何考えてるんだろ) 思いもせず、そんな気持ちがよぎった。 家族のことが嫌いになったわけじゃないのに、どうしてそう思ったんだろう。 「早く寝なくっちゃ」 自分に言い聞かせるようにそう呟くと、居間を離れやよいは布団に入った。 だが、寝ようと思うほど雪歩の事しか考えられなくなってしまい、逆に目が冴えてきてしまう。 「うー…」 頭がもやもやする。胸がきゅっと締め付けられるような気分になる。 (わたし、変になっちゃったのかなぁ) ごろごろ寝返りをうちながら眠気が訪れるのを待つが、やはり眠気はやってこない。 自分の心臓の音がよく聞こえる。いつもより鼓動が早い。 「雪歩さん…」 小さな声で呟く。頭の中が雪歩のことでいっぱいになる。 (どうしよう、わたし本当に変になっちゃったのかも…) 眼を瞑って自分の体に手を回してみる。 (雪歩さんの手は柔らかくて、あったかくて…) 雪歩の手のひらを思い浮かべる。 (雪歩さん…) 雪歩に抱きしめられることを思い浮かべながらやよいは身体のあちこちを触り続けた。 「ふえっ」 ふと、自分の手が胸に触れた時、ぴりっと刺激が走った、ような気がした。 (今のって…?) 未知の感覚が身体を襲う。すりすりと服の上から自分の胸を触ると、むず痒いような くすぐったいような感触が身体に広がる。こんな感覚は今までに感じたことがない。 「やっ…」 (なにこれ…へんだよう) 変だと思いつつも、もう一度恐る恐る胸に触ってみる。 「あっ…やん」 胸を撫で回すと切ない声がでてしまう。知らない感覚だけど、気持よくて、もっとしたい。 「ああっ…やあっ」 服の上からの弱い刺激ではあったが、経験のないやよいにとっては十分な刺激のようだ。 しかも、さっきから頭の中で膨らんでいる雪歩のイメージがやよいの感覚を増幅させる。 (変なのに…駄目、なのにぃ) 変だとは思いつつも、手が止まらない。声が出ないようにシーツを咥えて耐える。 (雪歩さん…雪歩さんに触ってほしい…) 服の上からでは物足りなくなったのか、手をパジャマの裾から突っ込み、直接胸を触る。 「ふうっ!うううっ!」 直に触ったことでより大きな快感がやよいを襲う。 (もうだめなのに…これ以上いけないのに…) 雪歩にゆっくりと服を脱がせてもらい、体を触ってもらう。そんなイメージが頭をよぎる。 「うあうっ!」 びくっ、と身体が大きく跳ねる。今自分がしていることと雪歩のことが結びつくと 快感がさらに大きくなる。 「ううぅ…雪歩さん、雪歩さあぁん…」 我慢していたはずの声もいつの間にか出てしまう。 手の動きもより激しくなり、快感を求めるように自分の胸をまさぐってしまう。 (なにか、なにかきちゃうっ) 「んっ…ううっ…ふうぅっ…」 胸から体中に広がっていた快感が一つの大きな波になってやよいの体中に広がる。 がくがくと体が震える。声を上げたくなるが、必死に耐える。 (雪歩さん…わたし…わたし…) 声を我慢しながらも、最後まで雪歩の事だけは頭から離れなかった。 少しの経つと震えは収まり、もやもやした感覚はすっかり収まった。 (わたしって最低かも…)。 身体も心も満たされたような心地の自分に嫌悪感を抱いてしまう。 雪歩の事を思い浮かべ自分がしたことが何なのかはよくわからなくても 良くないことだとは何となく分かる。 「ごめんなさい…」 誰に向けて言ったわけでもなくそう呟いたやよいは目を瞑り、眠りに落ちていった。 ----------------------------------------------------------------------------------- スレその31 >>570辺りを見ていて思いついたので書いてしまいました。。自分でしている時の表現が 上手く出来ず…そこは上達したいなと思いました。あとどなたかお手本を見せてくれると嬉しいです。 駄文ですが読んでいただきありがとうございました。 続きも何となくネタがあるので書けたらアップしたいかなぁ…と思います。