『わたしのお姉さん、わたしの』 「えっと、ここが私達の部屋だね」 部屋の鍵を開け、カードキーを差し込む。ぱっと明かりが灯る。 「わぁ、綺麗な部屋だね」 雪歩が嬉しそうに部屋に入っていく。 ここはとあるホテルの一室。二人は今週、地方ローカル局の番組に出演することになっていた。 収録は数日にわたり、泊まりがけでの収録となっていた。 雪歩さんと一緒の部屋だ…隣同士のベッドで寝るんだ… 収録の期間中、やよいと雪歩、二人は同じ部屋に泊まることになっていた。 同室なことを考えただけで顔が真っ赤になり、俯いてしまう。あの夜のことを思い出す。 「…いちゃん」 またあんなもやもやした気持ちになったらどうしよう。雪歩さんが隣にいるのに、また恥ずかしいことをしてしまうかもしれない。 声が出たらきっと聞かれてしまう。知られたら嫌われてしまう… 「やよいちゃん?」 「えっ…はっはいぃ!」 雪歩の声にようやく気づく。 「ベッドは私がこっちでいいかな?」 「はっはい、どっちでもわたしは大丈夫です」 「やよいちゃん、ぼうっとしてたみたいだけど大丈夫?」 雪歩が手を伸ばしてくる。 「やっ、大丈夫ですっ!」 思わず一歩退いてしまう。一瞬だけ、胸を触られるんじゃないかと驚いてしまった。 雪歩は手を額に当てようとしていただけなのだが。 「そ、そう?なら良いんだけど」 やよいの予想外の反応にきょとんとする雪歩。 「具合が悪かったらすぐ言ってね」 優しいなぁ、雪歩さんは。 わたしなんかとは大違い… 考えるほど自分が嫌になってしまう。 順番に備え付けのユニットバスを使っている時も、気が気ではなかった。 「雪歩さんが裸…」 シャワーの音からどうしても想像して黙りこんでしまう。 きれいな肌、貧相と自分では言いつつも女性的な体つき… 何故か、ベッドの上で正座したまま雪歩が出てくるのを待ってしまった。 「じゃあ、電気消すね」 就寝の時間。 ぱちっ、とスイッチの音がして部屋が真っ暗になる。 「おやすみ、やよいちゃん」 「おやすみなさい…」 真っ暗になった部屋。 早く寝ないと、と思っても隣で雪歩が寝ていることに意識が集中してしまう。 耳を澄ませば、微かにすぅすぅと寝息が聞こえる。 意識しちゃいけないと思うほど、逆にそれしか考えられなくなる。 もやもやした感覚が沸き上がってくる。胸が締め付けられるような感覚。 あの時と同じ感覚。また身体を触りたくなる。 (駄目なのに…駄目…) 自分に必死に言い聞かせても身体はあの時の刺激を求めてしまう。 「ふううっ…ううぅ…」 そっと、自分の胸を触ってしまう。 涙が出そうになる。しちゃいけないのに、手が止まらない。 寝間着の裾を噛んで、声が上がらないよう耐える。 しかし、触るたび溢れてくる快感に、少しずつ声が大きくなってしまう。 「うっ…ふうっ…あっ…」 やわやわと自分の胸を触り続けていると はらり、と布団が払いのけられた。 「ふえっ…」 首だけを動かして振り返ると、心配そうに雪歩が覗きこんでいた。 自分のことに夢中で、雪歩に気づけなかったらしい。 「えっ、雪歩さんどうして」 「やよいちゃん、やっぱり体調悪いの?苦しそうな声してるけど」 「ううっ…雪歩さん…雪歩さぁん!」 思わず抱きついて泣いてしまった。 「えっ、ええっやよいちゃん?」 「雪歩さん、ぐすっ、わたしぃ…」 事情はすぐには事情を飲み込めなかったが、雪歩はやよいをぎゅっと抱き寄せる。 それから何も言わずにやよいが泣き止むまで身体を抱きしめ続けた。 「私でよければ話聞くよ?」 「雪歩さんに話したら嫌われちゃいます…」 「そんな事ないよ、やよいちゃんが苦しいなら、私が力になりたいな」 ぎゅっと背中を抱きよせ髪を撫でる雪歩。身体が密着する。 「あっ…」 「怖がらなくていいから、ね?」 やよいは少しずつ話し始めた。夜雪歩の事を考えると胸が苦しくなること、身体を触り自分を慰めてしまったこと、 同じ部屋にいるのに我慢ができなくなってしまったこと。 雪歩はやよいの背中を抱きながらうん、そうだったんだと時折相づちをうちながら、やよいの話を聞き続けた。 「えっと、何から話そうかな」 やよいの話を聞き終え、雪歩が言った。 「やっぱりわたしのことなんて」 「やよいちゃん、私もやよいちゃんのことが大好きだよ」 やよいの目を見つめ、雪歩はそう切りだした。 「えっ、えっ」 「だから私に嫌われるなんて思わないでね、やよいちゃんに好きって思われてるなら私すごく嬉しいな」 「雪歩さん…」 「でも私なんかで良いのかなぁ…?」 「もちろんですよ!今もこうやってわたしの話を聞いてくれて、とってもとっても優しくて」 「えへへ…ちょっと照れちゃいます」 はにかむ雪歩。 「私もやよいちゃんみたいな妹、欲しいって思っちゃった」 「ほんとうですか…じゃあ」 「うん、私で良ければやよいちゃんのお姉さんになるね」 「うわぁ…嬉しいです、すーっごく嬉しいですっ!」 先程までの不安な表情が消え、やよいは満面の笑みを浮かべる。 雪歩も嬉しそうに笑っている。 「でも、ちょっと気になるっていうか…」 「はい、なんですか?」 「やよいちゃんは弟や妹の事を考えると身体むずむずする?」 「いえ、しませんけど…あっ」 「やよいちゃんがしちゃったことってお姉さんというよりは」 「恋人にしてほしいことなんじゃないかな」 少し間を開けてから、そう雪歩はいった。 「こっ、ここ恋人ですか!?」 再び顔が真っ赤になる。 「わたし…わたしなんかが雪歩さんの恋人なんて」 「私もやよいちゃんが大好きだよって言ったよね?」 「わっ…わたし…雪歩さんの…こっ恋人になりたいです」 「うん、いいよ」 にこりと笑う雪歩。 「雪歩さんがわたしのお姉さんで、わたしの恋人…」 確かめるように呟くやよい。 「やよいちゃんは私の妹で、私の恋人」 頷く雪歩。 「じゃあまずはキスしようか」 「キスって…チューですか!?」 「そうだよ、恋人なんだから良いよね?」 「えっと、よくわからないです…でも雪歩さんがそういうなら」 「うん、私に任せてね」 一度見つめ合ってから、そっと唇を重ねる。 「んっ」 「ちゅっ…んっ」 唇同士が触れるだけの、あっさりしたキス。 「キス、しちゃいました」 「嬉しい?」 雪歩は少し顔を赤らめて尋ねる。 「はい…」 とろんとした目でやよいが答える。 「それとやよいちゃんがして欲しかったことも」 雪歩は優しくやよいの胸を触る。 「やっ…」 まだまだふくらみかけの、つつましい感触。 雪歩はやよい快感を引き出すように、手で包み込む。 「ふふっ、どうかな?」 「はあぁ…おかしくなりそうです…」 服越しであっても、想い人に身体を触られる感覚はやよいに今まで感じたことのない程の 快感を生み出した。 「すごく、すごく気持ちいいです。それとすごく嬉しいです」 「そっか、じゃあ続けるね」 やよいの反応に雪歩も嬉しそうにこたえる。 「はぁうっ…あっ…」 服越しに雪歩はやよいの胸を触り続ける。手で胸を覆い、円を描くようにこねくり回す。 「あっ…あんっ…」 胸から広がる快感にやよいは身を任せ、声を上げ続けた。 「はぁぁ…やよいちゃんかわいいよぉ… 」 やよいが自分の愛撫にあわせて可愛い声を上げ続ける姿に雪歩もすっかり興奮したらしい。 「雪歩さん…雪歩さぁん」 甘えるように声を上げ、切なげな視線を向けるやよいに、雪歩は理性を吹き飛ばされてしまった。 「私、もう我慢出来ないよぉ」 がばっ、とやよいをベッドに押し倒す。 「やん」 小さく声をだすやよい。 「もっと可愛がってあげる」 「雪歩さん、何…っ」 雪歩は再びやよいにキスをする。ただ、今度はさっきの触れるだけのものとは違った。 まるで貪るかのような激しいキス。雪歩は舌をやよいの口の中に滑り込ませ、舌を絡める。 頬の内側や歯をなめまわし、唾液をすすり上げる。やよいは突然の事に驚き、雪歩に されるがままを受け入れるしかない。 「んむっ…ちゅっ」 「んっ…んうっ」 くちゅくちゅと舌の絡みあう水音が響く。 「ぷはっ…はあぁ」 雪歩が口を離す。つう、と細い糸が引いてから途切れる。 「はぁ…はぁ…今の…って」 「恋人同士のキスだよ、気持ち良よかったでしょ?」 「さっきとぜんぜんちがいまっ…ふぁん」 頬や耳たぶにもキスされる。やよいは目をつむったままキスをされ続ける。 「やよいちゃん、ちゅっ」 「ふああぅ…」 キスされていることに気を取られているうち、手が服の中に潜り込んできた。 「そんな所ダメですっ…はぁっ!」 やよいは手を払いのけようとするが、すでに下着の中にまで入り込んだ手は出てこない。 「これも恋人同士のする事だから、ね?」 雪歩は指先でやよいの秘所をつう、となぞる。 「あううっ!」 やよいは声を上げびくっと震えた。 「好きな人にここを触られると、一番気持ち良いんだよ」 雪歩はやよいの秘所を指の腹で擦り始める。 「やっ!、だめですっ!、雪歩さっ!」 「ちょっと濡れてるね、嬉しいとこうなっちゃうんだよ」 指先の濡れた感触を確かめると、少しずつ指の動きを早めていく。 「うあっ!あっ!ああっ!」 「気持ち良いでしょ…もっと愛してあげるね」 ぴちゃぴちゃと水音が出はじめる。いつの間にか上の服をまくり上げられ、胸も直接触られていた。 最も敏感な部分、自分でも触ったことのない箇所への刺激はやよいにこれまでに経験のない程 大きな快感を生み出し、雪歩に抱きついたまま悲鳴にも似た声を上げ続ける。。 「はぁっ!あっ!はあああっ!」 「いいよ、やよいちゃん気持ちよくなって」 「雪歩さん!雪歩さぁん!うわあああああっ!ああっ!」」 やよいの身体が弓なりにしなる。 全身を震わせて絶頂を迎えるやよい。雪歩にぎゅっと抱きつき、快感の奔流に耐える。 「あっ…はああっ…はぁぁ…雪歩さん…」 快感が収まるまで、やよいは雪歩に抱きついていた。 「ううぅ…恋人の雪歩さんは激しすぎです…」 「や、やよいちゃんが可愛くってつい…」 「わたし、可愛いですか…えへへっ」 雪歩の行為にやよいは驚いたようだが、可愛いの一言でまた笑顔に戻ってしまう。 「やよいちゃん、いくらでも甘えていいからね。お姉さんとして、恋人として、沢山可愛がってあげる」 「雪歩さん…大好きですっ」 「やよいちゃん、わたしも大好き」 二人は肩を寄せ合いながら、幸せな眠りに落ちていった。 ----------------------------------------------------------------- 最初はもっとソフトなはずだったのですがいつの間にやらこんな妄想になってしまい 健全な関係が好きな方にはごめんなさい。でも思いついちゃったから仕方ないのです… 次回泊まりの時は是非ダブルルームで。 駄文ですがここまで読んでいただきありがとうございました。